BLUE GIRL

ユウに気持ちは伝えた。両想いだということも理解しているけれど、共演者の時からなにも変わっていない気がする。

それを少しだけ不満に思うなんて、私も恋する乙女になってしまったということか。

ちょっぴりおかしい。




静かな公園の木の下でユウと一休みする。


出逢って、ちょうど1年。


その内、一緒に居れた時間は撮影をしていた2ヶ月ちょっとだったけれど、濃厚な時間だった。


もう一度、誰かを愛する強さをユウからもらった。



「向こうはどうだった?」


爽やかな風が吹き、木々が揺れる。

目の前をヒラヒラと舞う葉っぱ。



「朝から晩まで稽古と撮影。おまえは?」


「私は相変わらずだよ。ユウが行ってしまってからは特に引きこもりがちになったよ。でもね、少し勉強を始めたの」


「なんの」


ベンチに座って近況を話せることの嬉しさ。
やっぱり顔を見て話せるっていいよね。



「大学に行きたいと思って。そのために勉強をしてるの。世の中のみんなの力になっているユウやRyoのように私も成長して、なにができるかを考えたい」


「俺もまた留年だから、今年こそはきちんと大学に行くつもりだ。仕事をセーブしてでも。一緒に勉強でもするか」


「うん!」


一緒に勉強。
それもまた楽しそうだな。

海が【BLUE GIRL】を通して私のために用意してくれたステージは新鮮で、後ろ向きな気持ちを少しずつ解された。

これからはユウと新しい景色を見ていきたい。

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