BLUE GIRL
お店の方がお茶やお饅頭などの和菓子をを出してくれて、ユウのお腹も落ち着いたようだった。
台本を何周もするうちに外が暗くなっていくのが分かる。
「お夕飯の準備はいかがいたしますか?本日はカレイの煮付けがおススメです」
扉を軽くノックして顔を出したお店の方の言葉に、時計を確認して台本を閉じる。
「おまえ、好き嫌いは?」
「え?」
「食ってくだろ」
「いいの?好き嫌いはないけど…」
私の答えを聞いてユウはカレイの定食を2つ頼んでくれた。
「ごめんね、夕飯まで一緒に」
「台本、閉じるなよ。飯できるまで続けるぞ」
その後もここはもっと淡々と言い切るべきだとか、少しも哀しそうに聞こえないなんていう駄目出しをたくさんもらったけれど、彼の必死さが伝わってきた。
芸能界に生きる者。
それも生半端なポジションではなく若手実力派のトップに君臨する男。
私とは覚悟が違う。
そう感じた。