BLUE GIRL
「ユウはどうして俳優になったの」
「小さい頃からの夢だった」
お魚を綺麗に食べるユウの箸使いを見ながら尋ねた。
「ユウの天職だったね」
「……」
褒めたつもりだが、
ユウの箸が止まる。
視線は魚に向けたままだ。
「喉に骨でも刺さった?」
「…いや。おまえは?おまえの夢は?」
今度は私が箸を止める番だ。
とっさに思い浮かぶ夢が見当たらない。
小説家になりたいと思ったことはないし、
芸能界のように華やかな世界は分不相応だ。
「高校を辞めてから、夢も目標もなくなっちゃったよ」
それまでは平凡でも楽しい日々を過ごしていた。進路に悩み、両親と喧嘩し、海と恋バナで盛り上がりーーしかしあの病室で全てを失った。
「俺は一応大学に通ってるけど、たぶん、今年は出席日数足りずに留年だろうな」
「あれだけテレビに出て、いつ勉強するの?」