BLUE GIRL

大手出版社に勤める美島(みしま)さんと合流して会場に入った。美島さんは私の担当編集者で書籍化にあたりたくさんのアドバイスをくれた。


映画の監督やスタッフと挨拶を交わして指定された席に着く。長机の中央、監督の隣りに座らされる。


早速、居心地が悪い…。


監督は私の横顔をじっと見てきた。
【BLUE GIRL】の作者がどういう人物か興味があるのかもしれない。


私のことを物珍しく見つめるスタッフの視線から逃れるように下を向いた。スタッフの多くがスーツに身を包んでいたが、監督を含めた数人はTシャツというラフな格好だ。

もう少しちゃんとした格好で着たら良かったかな。


周りをキョロキョロしたいが人見知りな性格が手伝って、結局、顔を上げられなかった。


しかし心配せずとも私に注がれた視線はすぐに外された。




ゆっくり開かれた扉から、


水城優矢(みずしろ ゆうや)が現れたからだ。





2万人を超えるオーデションから、映画【BLUE GIRL】主演に選ばれた男である。


< 5 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop