BLUE GIRL
午後11時。
もういい時間だ。
平日ということもあって人通りが少ない。
梅雨の時期だからか小雨が降っているが、傘もなく車の走る大通りを見つめる。
何度かタクシーの運転手と目が合ったが、首を振って断る。
Ryoとの待ち合わせはいつもこんな感じだ。
車の走る通りで待ち、さっと乗せてもらう。
待ち合わせをしているところを記者に見られたりでもしたら大変だから。
しかし待ち合わせの時刻から1時間経っても、Ryoは現れずに電話も繋がらなかった。
海の誕生日をお祝いするためのケーキとお花で塞がった両手では傘を買うこともできず、待ち続けた。
今日は新曲のプロモーション撮影だと言っていたから、きっと撮影が延びているだけだよね。
お花の香りを嗅いで、心を落ち着かせる。