BLUE GIRL

いよいよ雨が強くなってきた。

せっかくのケーキを台無しにしたくないが、ここから離れている間にRyoが来て入れ違いになっても困る。


再びRyoに電話を入れながら、どうしようかと少し焦っていた。



「え……」


そんな時、そっと差し出された傘。



白い透明なビニール傘越しに見えた姿に、


どうして、

ひどく安心するのだろう。




「風邪、引くよ」


黒縁メガネにマスク姿のユウは、自分が濡れることもお構いなしに、私に傘を傾けた。


「なんで……」


「車からおまえが見えたから」



高そうな革ジャンに無数の水滴が落ちた。

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