BLUE GIRL
「母親、待ってるの?」
雨音が激しくなる。
「私は大丈夫だから、ユウが使って。風邪引いたら大変だよ」
2人で入るには小さすぎる傘。
「母親、待ってるの?」
ユウは同じ質問を投げかけてきた。
もうすぐ日付が変わるというのに、この時間まで仕事だったのだろうか。
それとも夜遊び?
「…もう少ししたら来るよ。だからユウは帰って」
ユウとRyoが鉢合わせすることも好ましくない、なんて。
傘を貸してくれたユウに対して私は最低なことを思った。
それでも今日だけはRyoと過ごしたい。
「おまえこそ帰れよ」
冷たい声が響く。
「おまえさ、自覚あるの?おまえが体調を崩してどれだけの人が迷惑かけられるか、分かっての行動かよ」
「分かってる!でも今日だけは!」
怒鳴り返した私から、ユウは傘を離した。
一気に雨が全身に降り注ぐ。