BLUE GIRL

オーデション審査には参加しなかったが、後で録画したビデオを見せてもらい、私も監督も主演は水城優矢(みずしろ ゆうや)以外いないと感じた。


「おはようございます」


ニコリともせずに彼はスタッフに挨拶をし、監督の前で会釈をして向かいの席に座った。


第一印象はテレビを通して見る彼となにひとつ変わらなかった。


「ユウ、作者の羅依(らい)さんだよ」


監督が私を紹介した。


鋭い視線が私を貫く。



ユウに見られるって緊張する…。



「はじめまして、羅依です。ユウさん、宜しくお願い致します」


慣れない笑顔を作って見せたのに、


「俺、【BLUE GIRL】は好きじゃないよ。宣伝になりそうだから出演するだけ」


口の端を上げてユウは悪気なくそう言った。


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