BLUE GIRL

バス停から電車に乗り、目的地が分からないままついて行った。

無駄話をして人目を引きたくなくて、ユウの隣りでずっと黙っていた。


電車の中吊り広告に映画【BLUE GIRL】の宣伝があり、ユウと2人で見ているなんて不思議な気持ちになる。


「降りるぞ」


「うん」


降りた駅は人が溢れ返り、若い子の話し声が駅構内に響き渡っていた。



黙ってついてきたがその場所と向き合った時、ユウの腕を掴んだ。



「どうして…」


「遠回りした分、ギリギリになったな。スタッフからチケット貰ったんだ」


"Ryo Special Live"
そう看板が掲示されたライブハウスの前で、ユウは言った。


「Ryoに会ったことないの?」


「…あるわけないよ」


昨夜、約束をすっぽかされたことは言えない。

今朝、Ryoから謝罪のメールがきたが返信もしていない。

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