BLUE GIRL
「水城優矢は海がファンだった俳優でしょ。彼がヘソを曲げて【BLUE GIRL】に出ないって言わないように、私も苦労してるの」
嘘はついてない。
本当にユウは【BLUE GIRL】の出演を辞退すると私を脅してきたのだから。
「キスまでする必要がある?」
「海のためならなんでもする。Ryoだって同じでしょう」
口から出る言葉は、ユウへの裏切りに思えた。
ううん。
ユウだって、椎名雪乃さんから逃れたくて私を利用した。
私も海のためにユウを利用している。
ただそれだけのことだ。
「疑ってごめん。理子がユウに惚れたのかと思って」
「ありえないよ。もういいから、冷めないうちに飲んで」
湯気の立つマグカップをRyoに差し出す。
私の手ごとマグカップを両手で包み込んだユウは小さな声で言った。
「もう俺には理子しかいないよ」