BLUE GIRL
「私、もう治らないんだって」
「何言ってるんだよ!薬だって色々あるだろう!」
「…手術も薬も、もう手遅れだって」
雪乃さんが無理矢理に笑顔を作るが、その目からはたくさんの雫が落ちていく。
「諦めるなよ!」
ユウが今にも飛びかかりそうな勢いで雪乃さんの手を握る。
私は2人の後ろで棒立ちしているだけだ。
今にも鮮明に覚えてる。
海が打ち明けた病気と寿命を聞いて、リョウは嘘だとわめき、私はその場で泣き崩れた日のことを。
海の口から飛び出た言葉全てを嘘だと思い込みたくて、唇を噛んだ。しかしその痛みが、現実であることを告げていたんだ。
「海、大丈夫だよ。俺が側にいるから」
ユウの後姿がRyoと重なる。
号泣。
強く振る舞おうと踏ん張るユウだけれど、それでも溢れ出る哀しみは止められない。
震えるユウの後姿を見て、
あの日抱いた感情が蘇り、私は自然と涙を流した。
台本とは異なり、嗚咽もなければ叫びもしない、静かな涙だったけれど、
監督はそれで良いと言ってくれた。
カットの声がかかっても涙は止まらず、控え室に駆け込んだ。