BLUE GIRL
「…さすが役者さんですね。嫌いな作品にも出るなんて」
入り口に立っていた担当編集者の美島さんが笑いながら言い返してくれた。
「こっちも売れ続けるための話題作りに必死なんすよ」
しかしユウの心には何も響いていないようで淡々としていた。
美島さんがさらに言い返そうと口を開いたが、私は首を横に振ってアイコンタクトをする。
どれだけ私たちが【BLUE GIRL】を思っても、ユウには届かない。他人が紡いだ物語に感動したという薄っぺらい感想を述べるよりも、正直な思いを打ち明ける方がずっと勇気がいることだ。
きっとユウは誰よりも正直で嘘がつけない人なのだと思う。