**零れる涙**
汚いモノを見る様な目ーー。


「お母さん、私は進くんが好き!!

だから認めてください!」


「俺は、カンナさんを大切に思ってます‼
認めてください!」


私達は互いに、頭を下げた。


こんなに、頭を下げる私達に、お母さんは近づくと私を、殴った。



お母さん…………。



私はお母さんを見た。


眉間に深く刻まれた皺。

つり上がった目。


「貴方の幸せを想って言ってるのに、男なんかね、みんな裏切るのよ‼」



"男なんかね、みんな裏切るのよ‼"


どうして、そう悲観的なの?


どうして、決めつけるの?



「俺は、絶対に裏切らない。


認めてください!」



私のすぐ近くで、こんなお母さんに頭を下がる進くんに泣きそうになった。

「何度、来たって私は認めない‼」


お母さん、私は貴方が憎い。


「お母さんなんて、大嫌い!!」


私は、彼の手を引いて二階の自分の部屋から荷物をバックに詰め込んだ。


「何してんだよ、カンナっ。
まさか………」


「これしか、思い付かない‼

進くんは離れないよね?」


ねえ、進くん。


お母さんは、私を愛してなんかいない。

いつも、冷たい。


いつも、厳しい。


当たりはひどい。

「カンナの好きな様にしていいよ。

俺、そばいるから……」


君は優しい。


私は、一人じゃない。

だからね……。


ずっとそばにいて。


< 103 / 154 >

この作品をシェア

pagetop