**零れる涙**
案内された部屋に、荷物を置いて私は、進くんの部屋に訪れた。

「進くん、お父さんって………」

何て言えばいいんだろう………。

片目の傷も、聞きたいことは沢山ある。
だけど、、嫌われたくない。

嫌われたくなかった………。


「父さんはさあ、本当の父さんじゃない。
俺が、一歳の時……母さんと再婚した」



えっーーー?

再婚??


兄妹かもと、思った気持ちが軽くなる。


だけど、片目の傷はーーーー。

「ちなみに片目の傷は、離婚するとき刺されたらしい。
いい父さんだよ……だけど、時々怖い」



怖いーーーー?


優しそうなお父さんなのに………。



「私は、羨ましいな。
お父さん、死んじゃって居ないから。
お母さんと、二人だけだった。
だけど、、


あのね、明日……田舎のおばあちゃん家に行きたいの。
お父さんが眠るお墓に行きたいの。
一緒にーーーっ」


一緒に行きたいなんて、ワガママかな。

途中、区切る私の言葉に………


「うん、行こう。
明日、行こう」


ふせたのは貴方ーーー。


私は、やっぱり進くんが好き。



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