**零れる涙**
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チュンチュン。

鳥の囀ずり、暖かな夏の日差しに目を覚ます。

進くんに抱き締められたままだ。


「進くん、起きて‼」

時計を見たら九時。
それは、普段なら学校にいる時間だ。
もしくは、授業を受けている。

「んー、カンナ?
早いねっ」


早くはない。

だけどなかなか寝れなかった私達は、まだ睡眠が少し足りない。

それは、仕方ないこと。

「今日は、おばあちゃんに会いに行く。
私…少し怖い。
現実を知るのが怖いっ」


私の体は、自然に震えていた。

治まることのない震えは、無くなることがない。


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