**零れる涙**
和食は、私の好きな食べ物の一つ。

ハンバーグだって崩れさせる自信はある。
うどん、茹でたら伸びちゃう自信もある。

「いい奥さんになりそうだよね、進くんっ」

私より確実に、いい奥さんになれるよ。

私は、きらびやかな料理を前に佇む。

「何?
奥さんならもういるから、俺の専属奥さん」


え!!

じゃあ、なんで私と………。


奥さんがいるのに、私なんかと。。

「カンナ………」




君の声が聞こえて振り向いたら、彼の顔は目の前に来てた。



えっ…………。



ちゅっ。



唇に感じる温もり。
彼の唇だと、気づいた。


「カンナ、可愛いね。
妬いてるの?
俺まだ16だよ。結婚できるわけないじゃん」

うん、わかってる。
気づいてない訳ないじゃない。

だけど、、


「だけど、奥さんって………専属奥さんって……っ」


私の勘違い??

口にしょうとした言葉は、言わせて貰えなかった。


君が、私にキスをしたから。


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