**零れる涙**
二時間と、ちょっとぐらいだった気がする。

田んぼや、畑。

蛙の無く声に、近い山にやっと来たんだ……、と安堵した。


私達は、電車を降りた。

無人駅。

箱の中の大量の切符。

私達はその箱に切符を二枚入れた。
駅とは乏しい、誰もいない無人駅。

「なんか、怖いかも。
昼間で良かった」

覆い茂る高い山。
草木が妙に揺れる。

「タクシーは、あるね。」

乏しい駅には、一応タクシーがあって私は、そこに乗り込んだ。

「えっと、この住所に行きたいんです」

私は、紙に書いたおばあちゃんの住所を見せた。

チラリ、と見ただけの運転手さんは迷わず、タクシーを走らせた。

どんどん山道に入る気がする。


どんどん険しくなる気がする……。

スマホの電波は、圏外にーー。

私は、不安に俯く。

止まるタクシー。

降りた私達。

息を呑む。

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