**零れる涙**
夕食は、私が作った肉じゃかを披露した。

おばあちゃんは美味しい、と喜んでくれた。
おばあちゃんの煮物も上手で、だけど私達に合う様に焼きそばを作り、出してくれた。


「買い物ってどうしてるの?」


素朴な疑問。
おばあちゃんの家しか無い、寂しい場所。

おばあちゃんは、車はない様だし……。

「ああ、街の人が親切にな。
いつもやって来てそこで、買うんだよ」


不便ではないけど……
でも………。


寂しくないのかな?

「おばあちゃん、ここに一人で寂しくない?
おばあちゃんさえ、良かったら家においでよ」


一人は寂しいよ。


「ありがとうね。
けどね、おじいちゃんがいるから寂しくないよ。この街で、おじいちゃんに出会って、恋をしたーーー。

おじいちゃんが、一生の恋だった」


おばあちゃんは、懐かしむ様におじいちゃんの写真を見つめた。









小さな街でも
君となら
幸せになれた。






どんな
困難も
君となら
幸せに感じた。





君に寄り添い
二人、並んで
眠る夜もーー。




「ずっと、一生一緒だ」




あの頃はずっと一生一緒だ、と思ってた。




「なんで、死んじゃったの……
おじいちゃんっ」




おじいちゃんが
一足先に、空に旅だった。


もし、死んでしまうならーー

おじいちゃんと、ともに過ごしたい。

おじいちゃんと、ともに過ごしたこの街で
死んで逝きたいーー
わがままかな?


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