**零れる涙**
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シワシワの手、震えた声。

「"ちゃんとしたいい子じゃないか。
清子の気持ち、ちゃんと届く様にわたしだけはお前の味方だよっ"」ーーー。

震えた声で、その手で受話器を掴むおばあちゃんの声。

もう、私達には届かない。

「"だから………許してやり。
仲良くするんだよっ"」ーーー。


受話器から、微かに漏れる娘のすすり泣き。

清子は、本当は娘想いの優しい子だ。
自分が一番、分かっているよ。

「"誰よりも、愛しているよ清子"」

離れても、愛しい我が子。
電話のすすり泣きは、止むことを知らない。

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