**零れる涙**
俺、ここにいるよーー。


風のせいにして、ごめん。


君の左目から流れる涙を、払った。


不意にカーテンが揺れた。


君は風だ、って勘違いしたそれはーーー


俺の指。

君には触れられないけどーーー。


君の涙を払うのは、俺でありたい。

「泣くなよ、カンナ。

絶対に、目覚めて見せるからーーっ。

側に居てよ……」


ごめんな、泣かせてーーー


夜は更けていくだけ。

君が泣いたのは、俺にしか見えないよ。




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