**零れる涙**
夜…………


君が病室を出ていった。


消灯を過ぎた21時だと言うのに、君はどこにいるの?



暗い廊下………


不安は募るだけーー、君に会いたい……。

その気持ちだけで進んだ道に、君はいた。


「如月さん、病室に戻りましょう」


なんで、ナースステーションに?


ナースステーション手前の椅子に、病衣を身に纏った君が気力を失ったように座り込んだ。


「いやです…………私は、私は、生きたくなかった。

進くんが、目覚めないのに、私には生きる希望がない。

彼だけだった。

私の気持ち、分かってくれたの。

灰色の世界の中にいた私に、あの人が光を差した。


なのにーーーーっ、君が目覚めないなんて、光がないのと、一緒よ」


君はそう言い泣いたね。


君が泣くと悲しい。


君が泣くと切ない。


俺が君の横に居て、君の手を握っているよ。


離さないーーー。


絶対に離さないから、君も……俺を離さないで。


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