同居人は恋愛対象外。


「いただきます!」


水田くんは机に並べたハンバーグとオニオンスープ、ポテトサラダを口にすると目を輝かせる。


前に初めてハンバーグを出してあげた時と同じ顔。

子供っぽくて無邪気な顔。

そんな嬉しそうな顔に胸がドキッとする。


「水田くんってどうして私のハンバーグ好きなの?」

「おふくろの味ってやつ?」


どういう意味なのか理解できなくてフリーズしてしまう。


「昔…父さんと母さんが仲よかった頃、ハンバーグが好きでよくおねだりしてた。

その母さんに作ってもらったハンバーグによく似てるから…かな。」


お母さん。

あの時の女の人。

水田くんの事捨てた人。


「そんな暗い顔すんなよ、せっかくハンバーグおいしいのに。」


水田くんのいじけた声にはっと我に帰る。


私が暗い顔してどうするの!

でも、水田くんとお母さんどうにか仲良くってわけにはいかないのかな。

って私がどうこうできるような事じゃないのに。


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