同居人は恋愛対象外。
あれから1週間が経ったある日の放課後。
急に涼太くんに一緒に帰ろうと誘われて2人並んで帰り道を歩く。
「せっかくのオフなのに彼女と帰んなくていいの?」
たわいも無い話で盛り上がるうちに不意に涼太くんの彼女が頭を過る。
「急なオフだったから彼女バイト。
てか、最近真奈と話せてなかったし。俺が側から居なくなるとすぐに泣くじゃん。」
「えーそれ、いつの話?もー高校生だよ私。」
私をからかう時には決まって意地悪な笑みを浮かべる。
笑って言い返すけど本当は内心寂しくて、昔と何にも変わらない。
今も隣を歩くことが嬉しくって、ときめいてる自分がいる。
このままずっとそばに居れるといいのにって。
「そうだな。もう子供じゃないか。」
ぼそっと呟く横顔はどこか寂しげで儚い。
つられて私まで寂しくなってきちゃった…。
涼太くんの手にそっと手を重ねると驚いたように一瞬ビクッとなったけど、そっと手を握り返してくれた。
「彼女に悪いかな。」
「なんで?幼稚園の時からずっと手繋いで一緒に帰ってたじゃん」
涼太くんは優しすぎる。
彼女いるのに、平気でこんな事するのは泣いてる私が放っておけないから。
少しの罪悪感と少しの嬉しさが胸の中に混ざる。