同居人は恋愛対象外。
日も西に傾きだんだんと暗くなっていく帰り道。
長く伸びた私たちの影。
子供連れの人、仕事終わりの人、学生。
私たちの横をどんどん通り過ぎていく。
「ちょっと待って!」
不意にガシッと腕を掴まれた。
「は、はい?」
後ろを向くとそこには前に見たキレイな女の人。
それは水田くんのお母さん。
キレイな顔は少し痩せこけているけどそれはたしかに水田くんがお母さんだと言った人。
「ちょっとお話ししたいんだけど…。」
「あ、えっと…。」
話?私と?
涼太くんに目をやると不思議そうな顔を一瞬見せ、すぐに頷いて行っておいでと背中を押された。
私はごめんねとだけ言ってお母さんについて行った。