同居人は恋愛対象外。


「ごめんなさいね。急に呼び止めたりして。
廉と一緒に居たあなたを見つけて居ても立っても居られないなくて…。」


小さな喫茶店に入り注文したコーヒーを一口飲むとお母さんは話し始める。


「いえ、これから帰るだけだったので大丈夫ですよ?」

「そうそれは良かったわ。……単刀直入なんだけど、あなた廉の彼女なの?」


とんでもない質問に口につけたミルクティーを思わずこぼしそうになった。

そんな私に水田くんのお母さんは静かに笑いながら大丈夫?とハンカチを手渡してくれる。


「あ、ありがとうございます。……その、私は彼女じゃないですよ。
同じクラスで席が隣なだけで…。」


私と水田くんはもともと仲がいいって訳でもなくて隣の席になったり水田くんが私の部屋に居候したりしてただけで…

なんの関係もないはず。

私の答えになんだか悲しそうな表情を浮かべる。


「あの子、すごく冷たい子でしょ?

見かけるたびに声をかけてるんだけどずっと無視されちゃって…。」


水田くんが無視するのは虐待を受けたから。

離したくないって思ってるから。

なのに水田くんが悪いみたいな言い方。

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