同居人は恋愛対象外。
「……元気?」
郵便物や雑誌が山積みになってほとんどスペースのないテーブルに母さんがココアを置き一言そう聞いてきた。
「うん、元気。」
この家を出て行く瞬間まで俺の事を放置してきた母さんから心配そうなその声を聞くとなんか変な気分になる。
「母さんは?……俺がいない間元気してた?」
本当は良くないこと知ってるけど口に出してなんて言えるわけなくて、つい普通を装って答える。
「…ふふっ……嘘つくと下唇噛んじゃう癖出てる。
相変わらず廉は優しいのね。
隠さなくてもいいのよ全部聞いたんでしょ?」
俺が知っているとショックを受けると思ったのに、母さんはとても穏やかだった。
それは同時に母さんが病気だって事を確かなものにしていって嘘であってほしいと少しでも考えていた俺は苦しくなった。
「……うん。」