同居人は恋愛対象外。


「きっとバチが当たったの。
まだ小さかった廉にストレスぶつけたりして。

私ね廉が居なくなって自分に余裕が持てるようになってきて初めて廉になんて酷いことしたんだろうって後悔したの。

廉が辛い時に助けてあげられなかった。
廉が泣きたい時に抱きしめてあげられなかった。
廉が嬉しい時に一緒に喜んであげられなかった。

廉としたい事いっぱいあったのに、私のせいでなにもかも台無しにしちゃった……。

ごめんね……ほんとに………ごめ………」


細く少し骨の見える両腕で顔を覆って嗚咽混じりの声で謝る。

その声はあの冷たく鋭い声とは違い、大好きだった頃の優しい柔らかい声。

父さんに次いで俺まで居なくなってきっと母さんは寂しかったんだと思う。


「母さん……俺、この家に戻る。」


咄嗟に口に出した言葉に自分自身驚いた。

母さんにされた事忘れれるわけないけど、とっくに過ぎた事に文句言ったってどうにもならない。

それに母さんが困ってるなら…悲しいなら俺が助けないと。


「廉……。」


顔から両手を離した母さんは赤くなった目を大きく見開いて驚いてるようだった。

ありがとうと言って笑顔になった母さんを見ると、自分が言ったことはきっと間違いなんかじゃないって思えた。


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