同居人は恋愛対象外。


「今日は廉の大好きなハンバーグ作ってみたの。」


この家に戻ると決めてから1週間。

母さんはハンバーグの入ったお皿を楽しそうに俺の前に並べる。

あれからずっと優しくて父さんが居ない事を除けば本当に昔の家族に戻れたようだった。

気がかりな事があるとするなら、母さんの食欲が減っている事…。

今だって母さんはスープだけを口にしてる。

それに薬がきれると時々苦しそうな表情を見せる。

俺の前では笑顔で接してくれてるけど、本当は体調だって悪いはず。

だから重荷になってるかもなんて思ったりもした。


「ハンバーグ力作なの、早く冷めないうちに食べてみて!」


だけどこうやって笑顔で会話できてる事が幸せで、久しぶりの家族の絆を思い出して、今更出て行くなんてできない。


「うまっ!」


久しぶりに食べる母さんのハンバーグに涙が出そうになった。

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