同居人は恋愛対象外。


それからまた何日か経って母さんの許す限り出かけたりもした。

部屋も俺が帰ってきた時よりもずっと綺麗になって明るく感じる。

それに比例するように母さんの笑顔も増え自然と痛み止めを飲む回数も減りもう病気が治ったんじゃないかって思えるくらい元気。


「廉?今日はね水族館に行かない?」

「水族館って…電車に乗って行かないと、この辺りにはないけど。」

「大丈夫よ。電車に乗って行こ?」


いくら元気になったと言っても遠出をするとなると少しだけ不安になる。

でも母さんが喜んでくれるなら…そう思って水族館に向けて出発した。


「手…つなご?」

「恥ずかしいからいいよ。」

「いいから、繋ぐの。」


歩き始めて少しすると半強制的に俺の手を取る。

俺の手を取るその手にはギュッと力が入っている。


「ずいぶん久しぶりね手繋ぐのなんて。手こんなに大きくなったのね。」


嬉しそうに隣を歩く母さんを見ていると手をつなぐことが恥ずかしいなんて思わなかった。


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