同居人は恋愛対象外。
そういえばあいつと口もきかずに母さんのとこ来たんだ。
学校もあんまり行ってないし…。
怒ってるかな。
でも心配性だし心配して…いやそれはないか。
悲しんでたりしたら嫌だな。
今度会ったらちゃんと謝ろう。
元に戻れたってちゃんと報告しよう。
ホットのココアとお茶を片手に振り向くと不意に悲鳴が聞こえてきた。
声のした方を見ると母さんの座っていたはずの場所に人集りができている。
さっきの死を思わせる言葉もそうだけどとてつもなく大きな胸騒ぎが襲う。
「母さん……!?」
少しの距離なはずなのに走っても走っても遠くに感じる。
人集りをかき分け見えた先には倒れ意識を失くした母さんがあった。
「母さん!?……しっかりしろよ!おい!」
呼んでも叩いても返事がない。
倒れた時に打ったのか頭からも出血があった。
その血に焦りは増す。
死ぬなよ!
死なないでくれ!
また置いてくなんてありえないだろ……!
人集りの騒めき、救急車のサイレン、救急隊の問いかけ…周りの音が全部違う世界から聞こえるようだった。