同居人は恋愛対象外。

誘えないまま時間が過ぎていき事件は起きた。


「ねぇ廉くんクリスマスの日空いてる?」


私の隣の席でまた上の空の水田くんの前に立ったのはゆるふわに巻かれた髪の毛にぱっちりお目目の女の子。

クリスマスの誘いという事に敏感になっている私はバレないように聞き耳を立てる。


「クリスマスは空いてない。」

「だれだれ?彼女?」

「彼女じゃないけど特別な人…。だからクリスマスは無理。」


そっかと落ち込む女の子と一緒に私の心もずんと重たくなる。

特別な人?

前に水田くんは私のことが好きだと教えてくれた。

でも私はクリスマスは誘ってないし、誘われてもいない。

じゃー特別な人って誰?

もしかして、私が涼太くんの事ズルズル引きずってたから他の女の子に行っちゃったのかな。

そうだったら嫌だな。

一段と心が重たくなるのを感じた。

それに胸が痛い。


水田くんと一緒に過ごしたかったって残念な気持ちに襲われると共に"特別な人"に勝手に嫉妬している自分。


きっと誘ってもさっきの子みたいに断られるだけ。

悲しい事をわかっていて聞くのはやめよう。


< 130 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop