同居人は恋愛対象外。
私の大きな声に振り返ったのはまぎれもなく昨日私がビンタした顔…。
後ろ姿似てたけど別の人であって欲しかったという私の淡い思いははじけて消えた。
「あ……。」
声の主が私である事を確認するとあからさまに嫌そうな顔して部屋へと逃げようとする。
「ちょ、ちょっと待って!
…なんで、ここにいるの?」
しかもそこ、私の部屋の真下。
そこに住んでるなんて言わな…
「なんでってここに住んでるから。」
そうだよねー。鍵持ってるもんね。
一瞬でも期待した私がバカでした。
「帰っていい?」
そう言ってドアノブに手を伸ばす。
「待って待って!
……その、昨日はビンタしちゃってごめんなさい。」
私が謝ると水田くんはピタッと動かなくなった。
「え、えと。許してくれてる?」
「はぁ?許す?…怪我までさせられて許すわけないじゃん。」
振り向いた水田くんは眉間にしわ寄せて真っ黒なオーラが立ち込めてるようにも見える。
そのままパタンと部屋へと消えていった。
その姿に思わずブルっと全身が震えて冷や汗が出た。
やっぱりあの怪我私のせいだったんだ……。
あー私ったらなんて事したの!?
って今更後悔しても遅いよね…。
オレンジ色の夕日の中カラスの鳴き声だけが私をバカにするように聞こえてくる。