同居人は恋愛対象外。
涼太くんどこかな…。
部活は終わったみたいで制服姿のサッカー部の人達が私の横を通り過ぎていく。
でももう7時、さすがに少し暗くなってきて、なかなか涼太くんが見つけられない。
「……いいって……もうかけてくんな。」
体育館横からそんな怖い声が聞こえてきた。
この声……
声のする方を見つめていると体育館の影からスマホを怖い顔で見つめる水田くんが出てきた。
「そこの人何ジロジロ見てんの?」
あんまりにも私が見つめてるからかふと顔をあげると私に向けていつもより冷たい声でそう言った。
「ご、ごめんたまたま声が聞こえちゃったから。」
「なんだ、あんたか。
……メイクしたんだ…その方がいいよ。
似合ってる。」
似合わないとでも言われるんじゃないかと身構えた私は拍子抜けた。
まさか水田くんから人を褒める言葉が出てくるなんて思っても見なかったから。
「ありがとう…。
怒ってたみたいだけど誰と電話してたの?」
「誰でもないよ…。」
「愚痴なら私聞くよ?
嫌な事口に出すとスッキリするよ?」
水田くんの目は少し虚ろでこのまま放っておいたらダメな気がしてまた問いかけた。
この言葉がどんなに無神経な事だったか知るのはもっとあとの話。
「うざいよ、そういうの。」