同居人は恋愛対象外。
「はぁ……」
「横でため息ばっかつかれるとこっちまで落ち込むんだけど。
そんなに落ち込むなら買えば良かったじゃん。」
凛ちゃんとわかれ帰路についた私たち。
結局水着を選べなかったことに後悔して落ち込む私とそんな私から少し距離を置いて歩く水田くん。
「だってさー水田くんどっちでもいいって言っちゃうし。」
少し口をとがらせて言う。
そんな私に「バカなの?」と暴言が降ってくる。
「あんたが言う大人っぽくしたいんならビキニだと思う。
でも男の俺にはよくわかんないけど嫌いな女子は嫌いだろ?
なのにあの時俺がビキニがいいなんて言ったら絶対気に入ってる水着を着れないなって思ったからどっちでもいいって言ったんだけど。」
「そんなの気づかないよ!
てか、水田くんがそんな優しい事するんだ。
ビックリ…。」
水田くんからの初めての気遣いに目をパチクリする。
「どんだけ俺の事性格悪いやつって思ってんの?」
少しだけムッとした水田くんが私のおでこめがけてデコピンする。
「いてっ!す、すみません…。」
「別にいいけど。
俺明日バイトないしもう1回行ってみる?
それで水着買えばいいじゃん。」
「嫌じゃないの?」
「あんたと2人なら嫌じゃないけど。」
「そ、そっか。」
"2人なら嫌じゃない"
今のは少し戸惑った。
そんな事言われるなんて思っても見なかったから。
最初はあんなに冷たくて悪い印象だった水田くんが私の中で少しずついい人に変わっていく。