同居人は恋愛対象外。
「3!2!1!……」
遠くから花火の打ち上がるカウントが聞こえる。
打ち上がった花火はプールの水面にゆらゆら移り込む。
プールサイドに座って足を揺らすと花火の赤や黄色の光は原型をとどめないほどに揺れる。
今頃涼太くんはあの子と楽しく花火見てるのかな?
やだな……
「ここに居たんだ。」
誰もいないプールに声が響く。
「幼なじみと見るんじゃなかったの?」
からかう声の主は私の隣にしゃがみこむ。
「水田くん…。」
「やっぱり、泣いてる。」
「み、見ないでよ。」
泣くなんてみっともない姿見られるのが嫌でセーラー服の袖で涙を拭う。
「なんで?辛いことあるんなら泣いたらいいじゃん。
辛い時に泣かなくていつ泣くの?」
優しく声を掛けてくれるから涙がとまらなくなる。
「なんでいつもみたいに冷たくからかってくれないの?
優しくされると…余計辛くなっちゃう。」
「ごめん。でも教室戻ってきた時悲しい顔してたあんたほっとけなくて…。
1人にしちゃ行けない気がした。」
隣に水田くんが居ると涙が溢れてとまらなくなる。
でもその分空っぽだった私の心は少しだけ暖かくなっていく__
「何があったかは聞かない。
けどあんたが俺の事助けてくれたみたいに俺もあんたの力になりたい。
だから俺の事もっと頼ってよ。」
打ち上がった花火を見上げる水田くんの目は真剣な眼差しで、花火のせいなのか輝いて見える。