同居人は恋愛対象外。
「あ、真奈〜!ってあれ?なんで水田くんといるの?」
グラウンドに向かうと男の子の中心からセーラー服姿の凛ちゃんが飛び出してくる。
「凛ちゃん…ごめんね。私のためにいっぱいメイクも教えてくれたのにダメだった。
涼太くん彼女ができちゃったみたい。」
「え、何それ!
真奈は謝ることないよ、悪いのは田辺じゃん!」
「涼太くんのこと悪く言わないでほしい…」
振られちゃったけど涼太くんの事を悪く言われるとやっぱり心の奥がチクッと痛む。
「ごめんそんなつもりじゃなかったんだ。」
「大丈夫だよ。
なんか、あっけないよね。告白だってしてなかったのに、涼太くんに彼女ができたから諦めなくちゃいけなくなっちゃって…」
「告白できなかったの!?今から私が呼んでこようか?」
「い、いいよ…きっと彼女といる。」
"彼女"と口に出すと涼太くんとさっきの女の子の楽しそうな姿が脳裏に浮かぶ。
凛ちゃんは腫れ物に触るような目で私を見つめるから余計に悲しくなってきた。
「凛ちゃ〜んこっち戻ってきて〜!」
「うん!今行く〜……真奈私行くけど大丈夫?」
うん、と頷くと凛ちゃんはじゃーねと頭を撫でて呼ばれた方にかけて行った。
グラウンドの真ん中で日を焚きその周りで盛り上がるみんなの声はとても遠くに聞こえる。