同居人は恋愛対象外。


「んん……あれ、なんで俺の部屋居るの?」


気絶するように眠ってしまった水田くんはゆっくり目を覚ますと不思議そうな顔してベッド横に座る私を見つめてくる。


人の苦労も知らないで、何呑気な事言ってるんだか。

呆れてため息をついたのもつかの間でここにきた意味を問われて頭にあの紙切れに書かれていた"好きだから"の文字がフラッシュバックする。


「け、消しゴムのカバーの中にはさんであった紙。
あれがどういう意味か聞こうと思って…。」


ちゃんと水田くんの顔見れなくてついつい俯いてしまう。


「やっと見つけたんだ。
……別に意味なんてないよ、そのままの意味。」


耳に入ってくる水田くんの声は恥ずかしさなんて感じさせないくらい真っ直ぐ。


「そんな…。」


ストレートに書かれた言葉がそのままの意味だと予想はできていたけど、確かめると本当だったんだとやっと実感できた。

でもそれと同時に戸惑う自分もいる。


「返事なんていらない。
たぶんあんたの中には幼馴染への想いがまだ残ってると思うから。

もし付き合えてもお互い辛いだけだよ。」


マスクでどんな顔してるのかわからないけど、切れ長で綺麗な黒色の目は少し悲しそうに見える。

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