♥バレンタインの奇跡♥
「彩乃さん、大丈夫ですか?」

「え?」

結人くんが心配そうな顔で私を見る。


「ちょっと顔色が悪いような気がしたので」

「大丈夫だよ…!」

わぁー気持ちが顔に出ちゃってたのね…。
でも結人くんが心配してくれた…嬉しい。


し・か・も!
桃子の前での名前呼び!
どーだ!まいったかー!ふふーんって表情に出ないようにしながら桃子を見る。


すると…

「結人せんぱーい!どうして野川さんのこと彩乃さんって呼んでるんですかー?ズルイー!桃子のことも名前で呼んでください!」

げっ!何言い出すのよ急に…。


「桃子ちゃん?」

「そう!」

うっ…。
グサリと何かが胸に突き刺さる感覚。 


ふふーんと勝ち誇った笑みでこちらを見る桃子。

あぁ…辛すぎる。


一歩リードのはずが、簡単に追い付かれてしまった。


意気消沈。
戦意喪失。


もう、無理…。
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