♥バレンタインの奇跡♥
「ママー!うん○いっぱい落ちてるよー!」

「しっ!拾っちゃダメ!」

その声に、ばっと顔を上げる。


そこで初めて、周りの視線が私に向いてることに気付く。


辺りをよく見ると、チョコチップだらけの床。

ヒソヒソとこちらを見ながら話す客達。


あ…。


どうしよう…どうしよう…。

私、なんてことしちゃったんだろう…。


自分のした事の大きさに、今初めて気付く。


フラフラ目眩がしてきた…。


自然と足が前に出る。

一歩踏み出すと、私はそのまま走り出していた。



「彩乃さんっ!」

背中越しに、結人くんの声が聞こえた気がした。


だけど止まらず走り続けた。


ただひたすらに。
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