♥バレンタインの奇跡♥
すると…

「彩乃さん」

え…。

後ろから声が聞こえた。
それは、たった今考えてた人。
結人くんの…声。


…っ。
嘘、どうしよう…!


ほんとに追いかけて来てくれたんだ…。


固まったまま、動けない、喋れない。

どんな顔して、結人くんを見ればいい?

いっぱい泣いて、目だって腫れてる。
メイクも崩れてる。


「大丈夫ですか?」

「………」

「すみません、心配でつい追いかけて来てしまって」

声が出ない…。
何か言わなきゃ…。


「…ごめんね!その、なんか恥ずかしい姿見せちゃって…大騒ぎになっちゃって…」

結人くんに背を向けたまま、どうにか言葉を振り絞る。


「ちょっとトラブっちゃって!ほんと恥ずかしいよね私!あはは…」

…ダメだ。
どうしても声が震えちゃう。


「…迷惑かけちゃってごめん。早く戻らないとだよね!」

涙をそっと拭い、小さく深呼吸する。


「結人くん、来てくれてありがとう…嬉しかった」

なんとか笑顔を作り、私は振り返った。
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