♥バレンタインの奇跡♥
布団に顔を埋めると、いつも通りの匂い、感触。

このベッドで寝て起きて。
それを何度も繰り返してきた。
何度涙で枕を濡らしてきただろう。
眠れなくて、一睡もできない日もあった。
だけどどんな時でも朝はやって来て。
こっちの気持ちはお構いなしに、太陽はいつも部屋を照らしてた。


あの頃…雅人と別れた後の日々は、朝が来るのが辛かった。

目が覚めた時の絶望感。
私は一人なんだと実感する孤独感。
毎朝毎朝、その感情と戦っていた。

この先どうなるんだろうとか、春になって清々しい季節が来ても、私の心はきっと泣いているんだろうなとか…そんなのたえられないって…泣いてばかりいた。

ずっと一人ぼっちなんだって、悲観して…。


二度と笑えないのだろうなって、ずっと思ってた。

だけど今私は笑えてる。
思いがけない、結人くんとの出会いのおかげで。
ちゃんと、心から笑えてる。


暗闇の中にいた私を、結人くんは救ってくれたんだ。

大袈裟かもしれないけど…命の恩人みたいって思ってる。

光をくれて、ありがとう。
< 206 / 307 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop