♥バレンタインの奇跡♥
すると、永久子さんが後ろから追いかけてきた。

「ちょっとちょっと彩乃ちゃん、先に行かないでよ」

「あ…ごめんなさい」

「…どうしたの?泣きそうな顔して」

「別になんでもないですよ」

笑顔で答えたつもり。
でもやっぱり、永久子さんにはお見通しで。


「そんな風には見えないけど?」

「っ…」

ふぅ、と息を吐く。


「結人くんに…素っ気ない態度をとってしまって」

「…そう」

「もう自分でもわけわかんないです。なんなんですかね。大人なのに、恥ずかしいです。めんどくさい奴ですよね」

ヘラっと笑う。
そんな私に対し、真顔の永久子さん。
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