♥バレンタインの奇跡♥
「はぁ…」

ダメだ…泣きそう。


「待つのよ。待って彩乃ちゃんもちゃんと告白しなさい」

「でも…」

もう、無理だよ…。


「私も一緒に待っててあげるから」

永久子さん…。
その優しさに、涙が出そうになる。


結人くんと桃子のほうをチラリと見ると、ちょうど桃子がチョコらしき物を差し出す姿が目に入る。

…っ。


心臓が、一気に騒ぎ出す。
バクバクバクバク…。
おかしくなりそう…。


一面真っ白な駐車場に、少し強めの風が吹いた。
パウダースノー、白い雪がサラサラと舞う。
刺すような寒さに、吐く息が震える。


今、桃子は結人くんに気持ち伝えてるのかな…。

結人くんはなんて答えるのだろう。


怖くて二人を見れない…。



……そういえば、さっき結人くんは何を言おうとしてたのかな。

ちょうど桃子が現れたせいで会話が中断してしまった…。

本当なら今頃私が結人くんにチョコを渡していたはずなのに。

とことんついてないな…。
桃子の呪い、恐るべし…。


深い溜め息をつき、一人物思いにふける。
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