♥バレンタインの奇跡♥
すると…

「彩乃ちゃん…!」

突然、永久子さんに名前を呼ばれビクッと肩が震える。


一体何…?
ゆっくりと、永久子さんのほうを向くと…


えっ…


そこには、何故か桃子が立っていた。


「…」

なに?なんで…?
わけがわからず黙っていると…


「結人先輩は野川さんに譲ります。桃子を一番に思ってくれる人じゃないと嫌なので」

そう言ってプイッと顔を背けると、桃子はスタスタと去っていった。


えっ…どういうこと?




「彩乃さん」

…っ。

後ろから声をかけられた。
結人くんの、声…。


緊張しながら、ゆっくりと振り返る。

視線が重なり、ドキッと胸が鳴る。


「ちょっと、いいですか」

「えっ…」

「話したいことがあって…」

困惑していてると、永久子さんがガッツポーズをしてみせた。そしていつものウインク。


…っ。

話したいことって…?

一気に高鳴る鼓動。


歩き出す結人くんの背中を見つめながら、後ろをついていく。
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