♥バレンタインの奇跡♥
………。

………………。

………………………。



何が起きたのか、わからなかった。


しっかり理解するのに、数分…いや、数時間…一日くらいかかりそうな勢い。


だけど、

「彩乃さん…?」

「あ…ごめ」

頬に涙が伝う感覚。
どんどん溢れ出て止まらない。
じんわりと、あったかいものが胸いっぱいに込み上げる。


「私も…結人くんが、好き。大好き…!」

自分なのに、自分じゃないみたい。
何がなんだかわからない内に、自然と口が動いていた。


涙で視界が滲むも、結人くんが満面の笑みになったのがわかった。


あぁ…私たち、両思いなんだ。


想いが届いたんだ…信じられないよ。



ふわっとした感覚。
気付いたら私は結人くんの腕の中にいた。


…っ。

満たされてゆく。
現実なんだ…やっと、実感がわいてきた。



体を離すと、結人くんと視線が重なった。


そして…

ゆっくりと結人くんの顔が近付く。

あ……キスされる?


私たち、本当に本当に結ばれるんだね。

そっと目を閉じる。
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