クールな先輩のドジな時
次の日の放課後も、麻子は図書室に寄った。
「先輩、こんにちはー…」
麻子の自然を装った挨拶に、先輩は読んでいた本を閉じた。
何か言いたげにしていたが、少し考えて「こんにちは」と普通に返事が返ってきた。
今日は借りる本が決まっていたため、図書室の滞在時間は短かった。
先輩は、いつも通り借りる本のタイトルを帳簿に書いて、返す日をスタンプしたしおりを挟んだ。
「これ返す日が過去になってますよ」
「あー、ごめん。間違えた」
先輩は涼しげな顔で、頭も良くて完璧な雰囲気なのに凡ミスがよくある。