クールな先輩のドジな時
翌日も先輩は図書室を開けてくれていた。
今日は、2、3人先客がいた。
「先輩、賑わってますね!」
「いつもよりは、ね」
しかし、その先客も数分のうちにいなくなってしまった。
「昨日のことなんですが…」
気になっていたため、切り出してみた。
「新刊だけ読んで、内容が理解出来たんですか…?」
先輩は無表情で、
「いや、分からんね」
と答えた。
「じゃあ、どうして」
本に付いてる紐のしおりは、だいぶ読み進めたことを示していた。
「だから、ドン引きするって言ったじゃん」
「え?ごめんなさい。分かるように言ってください…」
「だから、さ、」
先輩は、ふう、と息を吐いた。