クールな先輩のドジな時



そして、すらすらと本のタイトルを言ってひとつひとつに感想を述べていった。




それは、私が最近読んだ本だった。


「え、先輩も、読んだんですか?」


「引くよな。ストーカーみたいで。いつも楽しそうだから、どんな本読んでるかと思って…」


先輩の色白い顔が少しずつ赤くなっていく。

「最初ほんとに自分が本読みたいだけだったけど、渡瀬が来るのがだんだん楽しみになってきてさ、渡瀬のこと考えるようになってから、変に意識してしまうようになって…、あー、俺何言ってんだろ」



麻子も顔が真っ赤になった。
いつもクールな先輩が、しどろもどろになっている。

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