だったら俺にすれば?~オレ様御曹司と契約結婚~
「はぁ……」
自然とため息が漏れる。
今回の女性陣は、華やかできれいな子が多かった。もはや誰も玲奈のことを見ていない。
だったらせめて、周囲の人間を楽しませるような話題を提供できたらいいのだが、趣味は料理ですと言ったところで、それから話題を膨らませる技術がない。
(自分のヘタレ具合が……情けないわ……)
合コン会場である、アジアンレストランのメインダイニングは、天井から薄いカーテンが吊り下がっていて、テーブルを分けている。フロアは広く、金曜日の夜ということもあって席はどこもいっぱいだ。
なんとなく見回すと、自分以外、誰もかれも楽しそうで、余計、つまらない顔をしてここにいる、己のふがいなさが身に染みる。
テーブルの間を通り抜け、店の外の商業施設ビル内にある、パウダールームへと向かっていた。
「はぁ……」
鏡に映った、ため息をついてばかりの自分は、ずいぶん憂鬱(ゆううつ)そうだった。
「かわいい服、着てきたんだけどなぁ……」