王子は冒険者になる!

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ぼあん。
独特の揺られる感じがして僕は移転した。

えぇと、あまり来ることは少ないけど
王宮前の移転広場だ。


「あ、あれ?君、フランの従者 だろう?」

不意に、声がかかる。
さらりとした黒髪が揺れる・・・あっアレッサンド様!?

「あ、あのっ。」

思わず声が詰まる。
あわてて 腰を落とす。


「あぁ、うちの弟が迷惑をかけてるねぇ。
 改めて。僕はフランの兄の アレッサンド。」

「あ、改めまして。
 ラディゴール=セリア=モントレー公爵の子息 です。
 フラン様・・・フランチェスコ様の学園内での従者として
 側に仕えております。」

焦ったように早口になる。
そうか、アレッサンド様も朝から「フラン様の逃亡」の件で呼び出しされていたんだなぁ。

「そうか。あ、でも
 今 王宮行ってもやることないかもね。
 混乱してるし、たぶん『見つけられない』よ。」

「・・・と、申しますと・・・。」

見つけられない?王宮の優秀な魔法師や騎士たちでも?
側近や護衛騎士がいるからすぐに見つかると思うんだけど・・・。

きょとんと アレッサンド様を見ると
楽しそうに笑った。

「とりあえず、ラディゴール君は、一緒にお茶でもする?
 サントス。学園に戻るのは保留。
 連絡と作業は任せた。」
「・・・アレッサンド様。」

「サントス。頼んだ。
 大丈夫。僕の護衛騎士がちゃんといるし。」
「ちょ、アレッサンド様!」


アレッサンド様はやや強引に
側近であるサントス様を移転の陣に押しやった。

警護騎士二人と 侍女が魔力を注いで ふおぉん。とサントス様が移転された。
残されたアレッサンド様は、こっちだよ。と王宮内へと進む。

騎士二人が 有無を言わせず僕を連行した。

あぁ、どうなるんでしょうか。

心配しかない。

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